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大きな家族。

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木曜日から今日まで、遠征してきた。
雑誌の取材で、2日は飛騨高山、今日は大阪・箕面へ。
その合間に、京都は西陣の「豆料理クラブ」の本拠地に寄った。

そこで初めて出会った人たちとの、いきなりのディープな付き合い。
まったく、初めてのような気がしない。
この不思議な感じって、なんだろう。
それは、台所でつながっているからだなあ、と思った。
それぞれのバックグラウンドを持ち、生活を営み、仕事をし、違う人生を送っているのにもかかわらず、「豆」がかんたんにわたしを輪に入れてくれたのだ。
「豆」が見せてくれた世界を共有しているからだろうか。


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豆料理クラブとの出会いは、今を遡ること2年前。ネタ集めで訪れた「マザリング・フェスタ」で川内たみさんと会い、そこで紹介され、すぐに京都へと向かったのだ。
会員になり、毎月豆とスパイスとレシピが送られてくるようになり、しかし創刊で忙しかったわたしはろくに豆料理をつくることもせず、撮影を終えてレシピを試作する段になってようやく、豆を煮るようになった。その頃には、創刊の疲れとモラル・ハラスメントで身も心もぼろぼろになっていた。

台所で豆をことこと煮ていると、無心になった。
夜も眠れぬほどの疲れとむなしさと怒りが胸に渦巻く日々のなかで、火にかけられた豆たちは、ただそこで煮られていた。
それは、わたしの心の中とはまったく関係のない世界で、でも、火をかけている以上は気を向けないわけにはいかず、ともすれば「あっちの世界」に持って行かれそうになるわたしの心を、現実につなぎとめてくれる、貴重な貴重な存在だった。

そのことで、料理をすることの意味、台所仕事の意味に、本当に出会えたような気がするのだ(その時には気づかなかったことなのだが)。
わたしにとって、豆料理は、心を「こっち」に留めておいてくれた恩人だ。
豆料理がわたしをつなぎとめてくれたからこそ、酵母に出会うことができたとも思う。


会員のMLにごくたまにしか顔を出さないわたしだが、そんなわけで勝手に、ものすごく、豆料理クラブには思い入れをもっている。会員には、同志のような気持ちすらある。

で、今回、行ってみたらいきなり「裸の付き合い」だ。
女性同志、近場の温泉「船岡温泉」へ行くことに。女性と言っても、3歳、5歳、6歳、11歳、そしてわたし含めた大人4人の計8人。誰と誰が姉妹で、誰の子どもだかわからないくらいみんな溶けこんでいて(顔が違うから実際はわかるんだけど、さ)、代わる代わる面倒を見ていて、じゃれあったりしていて、「えー、これ、なんなのさー?」とびっくりした。
6歳の子のお母さんは風邪を引いて来られなくて、11歳の子のお母さんは息子が風邪を引いて来られなくて、別の人が母のように姉のように面倒を見ていて、風邪を引いている人のことをまるで自分の家族のように心配していて、「この人たち、なんなのさー?」と、二度びっくりした。
半日以上、子どもを預けられる関係がこの西陣には当たり前にあって、横浜から来た自分がその輪に入っていることに、何度もびっくりした。

豆料理クラブが始まって、たったの4年だ。会員歴が2年に満たない人も多い。でも、もうこんな「大きな家族」的な関係が成り立っている。
これって、なんなのだろう。
「豆」という媒体を通して、同じレシピをつくって、同じものを見ているから? いいや、そうとも言えないだろう。
だってみんな、考え方のバックグラウンドも、生き方も、食べ方も、違う。でも、その違いはそんなに大きすぎるものではないのかもしれない。
「豆」を煮るという日々の積み重ねは、鍋を火をかけてコトコトという音を聞き、匂いに包まれ…そういうリアルの積み重ねだ。

ちょっとしたきっかけさえつかめれば、わたしが住む地域でも「大きな家族」をつくることは可能かもしれない。
うちの子どもを安心して預けられる。
大人の遊びに子どももくっついてくる。
お互いがちょっとずつ歩み寄れば、厚く高い壁を薄く低い垣根になっていく。

「台所仕事というリアル」の積み重ね。
それで共有できることの大きさは、計り知れない。
どこに住んでいるか、は、あまり関係ないのだと思った。

今、わたしは細々と、自分の家で味噌づくりパーティーをしたり、酵母ごはんパーティーをしているけれども、まだまだ「線」のつながりだ。
「面」になって、「立体」になってふくらんでいくまではもう少し時間がかかるかもしれないけれど、自分が今住んでいる地域の友達と、食環境を共有して育ち合っていきたいと思う。



京都旅行で感じたこと。
今の時点では、以上。
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プロフィール

キタハラマドカ(おでこが広いからtecoちゃんがニックネームでした)

Author:キタハラマドカ(おでこが広いからtecoちゃんがニックネームでした)
団地暮らしと酵母生活の達人目指す、フリーのライター・編集者。仕事は、生きることそのもの。水環境ジャーナリストを師匠に、鬼校閲者を友に、チーム仕事も繁盛中でございます。
ウエダ家とともにCOBOの普及活動に勤しむ、日本初のCOBOライターでもあります。
得意分野は、食環境、住環境、地球環境。地球温暖化や食の安全・安心、エコハウス関連の仕事が多い今日このごろ。仕事の内容についてはカテゴリ【work】をご参照ください。
夫と愉快な仲間たちがやっているNPO法人【Waveよこはま】のブログにてエココラムを執筆中。
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☆キタハラ、2009年1月に出産いたしました☆ニンプ日記は未完のまま産後生活に突入。ぼちぼち、育児日記出産ドキュメント布おむつ生活産後の体のこと姿勢のことなどを書きつづっています。
相変わらず時系列はぐちゃぐちゃ。しかし、テーマごとに思考を詰め、まとめる作業は苦しくも、おもしろくあります。気長に見守っていてください。
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