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木の「手仕事」を探して。山形初市紀行。

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3年前の旧正月のころ、山形市の旧県庁(文翔館)にて開催されていた「旧・初市」。そこに並んでいた木製品の数々…サワグルミやヤマブドウの籠、エンジュの木でつくった茶筒、朴の木の杓子…。農村部の人たちが農閑期につくるこれらの木製品は、素朴でありながら実用的。しかも、耳を疑うくらい安い。
で、今年の1月10日、遠路はるばる新幹線を使って(←貧乏人にはイタイ)本来の初市に訪れたのだ。友人、Sさんを伴って。高校を出てから一度も足を運んでいないから、かれこれ10年ぶりになるだろうか。

江戸時代から続く山形の初市は、毎年1月10日に開催される。大雨でも、大雪でも、この日だ。旧暦の頃はもちろん、旧1月10日に行われていたらしい。初市の起点は、十日町角。駅前通りから七日町通りにつながる、約1.5kmの「山形市の目抜き通り」だ。毎月十日に市が立ったから十日町。新年最初の市だから、初市、らしい。ちなみに山形には七日町、六日町、三日町など、市が立った日にちなんでつけられた町名が多い。


私たちの旅の起点は、湯殿山神社の中にある「市神神社」。初市の守護神、商売繁盛の神様が祀られている。ご神体は石みたい。カブの模様のはっぴを着たおじさんたちに、「カブ券」を配られ、大カブをもらう。「カブ」の由来を聞くと、「大株主になれるように」だそうだ。また、温かいカブ汁を無料で配布。細かくきざんだカブ、豚肉、アサツキを味噌で煮たシンプルな汁だが、雪がちらつく中でいただくと心も体もほかほかになる。
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(写真左:カブ汁を食べながら見知らぬ人通しが「んめえ」「あったけえ」などと声をかけ合う。道行く人の多くがカブを手に携えていた。写真右:大きなカブがそこかしこに売られていた)

さて、旧県庁からスタートし、市の中へ。
団子木(山形の古い民家や商家では、梁に架けられているのをよく目にする)、初飴、達磨といった縁起物が売られるほか、農産物、海産物の出店も多い。農産物で特に多かったのは、やはり「大カブ」と「しらひげネギ」。ほかにも山形名産の秘伝豆、打ち豆、なめこ、漬け物など、地場野菜が結構安く手に入る。海産物では「沼エビ」(宮城県)、「いるか」(ショウガと醤油で煮付ける)といった、割と珍しいものも。

わたしのお目当ては、木製品。今回はまな板、おひつを買うことを目的に動いていたが、おひつはどこを探しても見つからず。しかし、まな板屋さんは多い! 水切れのよいイチョウがよく売れるそうだが、「刃を受けとめるやわらかさは柳がいちばん」というおばちゃんも。いろいろ見て、聞いて、さわって、木の柾目がきれいで板の面取をしっかりしてある、切畑(高瀬)のお店で購入。つくり手が売り手でもあるから、直接交渉すれば「お勉強」もしてくれる。100円、200円引きは当たり前、だいたい2割くらいまでは余裕。

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籠やザル、臼、杵の店も点在。杉の落としぶたもごろごろ転がっている。朴やブナの木でつくった杓子、しゃもじといった台所製品のほか、箒、はりみ、すりこぎ、雪かきの長い棒など、見ているだけでも楽しい。打刃物が地場産業として有名な山形、鉄を熱して打ったため全体が黒く、刃先だけが鋭く光る包丁は、なんだかすごみがある。

籠なんて、都内の人が見たらびっくりする値段で売っているのではなかろうか。サワグルミはだいたい2万円。ヤマブドウは4~5万円。77歳のおばあちゃんが自分で編んだというヤマブドウ籠は、 23000円のものを「いづまんはっせんえん」でいいとのこと。形は少々いびつだが、つくり手から直接買えるチャンスなんて、めったにない。都内ならば7~8万はするので、お買い得だなあと思いつつ、自分はすでに1つ持っているので、竹ざるを買って店を後にする。竹ざるはSさんのおすすめ。米をとぐときに使う深ざると、そうめん用に浅ざるを買った。確かにステンレスのザルだと、米がぽろぽろ砕けるのが気になった。ざるの裏側を見ると、編み目がとても美しく、やはりこれは手仕事ならではだなあと思った。

今回、特に印象に残ったのが、飲食の出店の人気傾向。お好み焼き、じゃがバター、焼きそば、チュロスといった「いわゆるテキ屋」系には見向きもせず、どんど焼き(山形風お好み焼き。水溶き小麦粉をクレープのように巻き、ソーセージと海苔をのせてソースで食べる)、どんがら汁(庄内名物の海鮮鍋)、玉こんにゃくといった、山形名物の露店に人が集中していたこと。この
現象は何なのか、食べ慣れた味への親しみなのか、温かいものに吸い寄せられていくのか、はたまた地元食材への誇りなのか…。ともかく、如実に繁盛と閑散が分かれていて、その様子は私には、少し好ましく見えたのだ。
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つきたてのお餅や納豆汁、味噌汁、かぶ汁、御神酒など、様々なお振る舞いを受け、ものづくり文化を支える人たちの心意気と商魂たくましさ、そして誇りを垣間見ることができ、幸せな気持ちで満たされた。この初市が、次の世代にも伝わりますように、いや、我々の世代こそがこういうものを欲しているのかも、などと思いながら、山形を後にした。
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プロフィール

キタハラマドカ(おでこが広いからtecoちゃんがニックネームでした)

Author:キタハラマドカ(おでこが広いからtecoちゃんがニックネームでした)
団地暮らしと酵母生活の達人目指す、フリーのライター・編集者。仕事は、生きることそのもの。水環境ジャーナリストを師匠に、鬼校閲者を友に、チーム仕事も繁盛中でございます。
ウエダ家とともにCOBOの普及活動に勤しむ、日本初のCOBOライターでもあります。
得意分野は、食環境、住環境、地球環境。地球温暖化や食の安全・安心、エコハウス関連の仕事が多い今日このごろ。仕事の内容についてはカテゴリ【work】をご参照ください。
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☆キタハラ、2009年1月に出産いたしました☆ニンプ日記は未完のまま産後生活に突入。ぼちぼち、育児日記出産ドキュメント布おむつ生活産後の体のこと姿勢のことなどを書きつづっています。
相変わらず時系列はぐちゃぐちゃ。しかし、テーマごとに思考を詰め、まとめる作業は苦しくも、おもしろくあります。気長に見守っていてください。
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