4W●出張は是か非か?
TICAD4が無事に終わり、まずは1本、原稿をアップした。
妊娠した(だろうと思われる)ことに対する過度の興奮と緊張状態が混じった、異常とも言えるハイテンションの状態。そして、「つわりはいつ始まるのか……?」と、気になって仕方がない。
この頃、口の中に唾液がたまる、あるいは腹部膨満感と空腹感を覚えるようになった。これはもしやつわりの予兆では? と、期待?が高まる。
想像妊娠中に駆使した検索技を使い、一般のニンプがどのような状況に陥るのかを調べ、それに自分を当てはめて、恐怖におののいたりしていた。
さて、わたしはTICAD4の翌週にもイベントを抱えていた。7月の洞爺湖サミットに向けて青森で行われる、G8のエネルギー大臣会合(日本では経済産業大臣が参加)の取材をすることになっていた。関連イベントも含め、青森には5日間滞在する予定だ。妊娠初期の大切(と思われる)な時期に、そんなに長く出張していていいものなのか。
そもそも、飛行機は大丈夫なの? ストレスフリーな環境は胎児に何らかの影響を与える?? しかも、取材ではもしかしたら六ヶ所村に行くことになるかもしれない。周辺地域の放射性物質のレベルは???
またまた、ネットに向かうわたくし。「妊娠初期+出張」「妊娠+飛行機」「胎児+X線」など、検索ワードを並べ立てる。相も変わらず出てくるのは、ニンプの質問コーナー。
「妊娠初期の飛行機って大丈夫なの?」「妊娠前から決まっていた出張、どうすればいい?」などという問いに対して、「親切な」経産婦、流産経験者、ワーキングウーマンなど、様々な立場の女性が回答をしている。
・わたしは妊娠していることに気づかずダイビングをしたが平気だった
・ヒールを履いて石畳の街を闊歩し、たくさんワインを飲んだが元気な子が生まれた
・赤ちゃんに何かあったら後悔するから、初期は安静にすべきだ
・わたしは流産した。赤ちゃんのことを考えたら行くべきではない
・赤ちゃんと仕事のどっちが大切なのか? そんな時期に飛行機に乗るなんて非常識だ
……などなど。なかには、質問した人を罵倒するような感情的な内容の書き込みまで。
最初は、わたしも藁をもつかむ思いでネットの情報に頼った。
しかし、そこに書かれていることは、いち女性の個人的な経験に基づく私論がほとんどだ。医学的な根拠があるかというと、必ずしもそういうわけではない。それに、とある個人に対する医療の見解が、万人に当てはまるわけでもない。
価値観も違う。送ってきた人生も違う。健康状態も違う。感情の表し方も違う。あらゆることが異なる他人同士だ。しかも見ず知らずの。
果たして、ここでは答えは得られなかった。結局は、自分がどうするか、しかないのだ。
仕事をやるからには、きちんと全うする。そのスタンスは、子どもを持っても変わるものではない。
自分の判断に責任を持つ。これだって、子どもがいようといまいと、変わらないはずだ。
それが、どうしてこんなに、赤の他人の言葉に振り回されなければならないのか。
バカバカしい。わたしの人生、そんなことに左右されてたまるものか。
肝は据わった。
あとは、自分がどうしたいか、そしてそのために何をすべきか、それしかなかったのだ。
(2008年10月15日公開)
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