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酵母について。


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私の家からほど近くで、酵母ネット(www.cobo-net.com)という活動をしている「ウエダ家」との出会いから、『酵母ごはん』(昨年3月発売、学陽書房)の文章を担当した。来月には新刊も出る予定だ。
今ではどっぷり酵母生活。目の前でシュワシュワいっている酵母、ミーミーささやかに鳴いている酵母。すご~く、かわいい。だって、生きているんだもの。

今まで、「酵母」というと、ビール酵母かパン用の天然酵母の粉末のことしか知らなかった人も多いと思う。つまり、どこかから買ってきて、料理なり健康補助食品として使っていたはずなのだ。
しかし、酵母は実は私たちの身のまわりを浮遊しているもの。りんごや梨、柿などさまざまな旬の果物、野菜に付着している。そして、食物を美味しくする、食物の消化吸収をよくする、など、食生活において多面的な機能をもつのだ。
たとえば、味噌、醤油、お酒はすべて酵母が働いてできるもの。漬け物を美味しくするのも、植物性乳酸菌と酵母の働きだし、煮込み料理や肉・魚料理に酒を加えるのも、酵母の力で動物性の筋繊維をやわらかくするため。
つまり、日本の料理には、酵母はなくてはならないものなのだ。


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肝心の酵母のつくり方。
旬の野菜や果物をビンに詰め、水を注いで蓋を閉めるだけ。
冷蔵庫に3日~1週間、フタを開けずに低温発酵させ(この時、ビンの中で植物性乳酸菌が優勢になっている)、常温に戻して1日1回フタを開けて空気中の野生酵母を取り込みながら、発酵を進める。夏ならば2~3日、冬ならば4~5日でシュワシュワと発酵します。フタを開けた瞬間に炭酸ガスの勢いで酵母液がビンからあふれることもある。

この、「シュワシュワ」の状態の時に、小麦粉と一緒に練り込んでさらに一次発酵、二次発酵させてつくるのが「天然酵母パン」。今までの「天然酵母」のイメージは、そこでストップしていた。
酵母をそのまま飲んだり、料理に使うという発想を持ったのが、ウエダ家のおもしろいところ。
ウエダ言えは酵母が作り出すうまみ成分(各種アミノ酸やビタミン、ミネラルなど)に着目し、その成分が、昆布だしのうまみ成分であるグルタミン酸であることを発見。試しに酵母液に塩を加えて温め、スープにすると、とてもまろやかで上品、しかも酵母の素材のうまみがたっぷりの、極上のスープができあがったのだ。
そうして、本やイベントなどで「酵母をメディアにして新しい日本の食環境を提案する」というビジョンを持って活動をしているのだ。わたしもそれに共感し、さまざまな活動に参加している。

酵母の発酵プロセス。
最初、冷蔵庫に入れて低温状態にしておくことで、ビンの中で植物性乳酸菌が増殖する。植物性乳酸菌は低温で優位に働き、嫌気性で殺菌力が強く、素材についた雑菌を駆逐。植物性乳酸菌は今、健康飲料として注目を浴びており、健康維持のために「買って」飲んでいる人もいるはずだ。
常温に出すと酵母が働くようになり、素材の糖分をエサにしてアルコールと炭酸ガスを出す。この状態がいわゆる「発酵」で、りんご酵母ならば「シードル」、ぶどう酵母ならば「ワイン」、米酵母なら「どぶろく」といったところだろうか。発酵臭はするが、甘み、うまみが最高潮の状態で、うまみ成分である各種アミノ酸、ビタミンB群、カリウムなどのミネラル分がたくさん含まれいる。この時に、肉や魚の漬け汁、スープ、炊き込みご飯、ソースなどに使うのが「酵母ごはん」。

酵母液を使い切らずにさらに置いておくと、酵母の出したアルコールをエサにして、酢酸菌が増えてくる。これが酢酸発酵で、そのまま置いておくと上質なお酢が醸成される。りんご酢、ワインビネガー(長くねかせればバルサミコ酢)、米酢。市販のお酢は、やはりアルコールに酢酸菌を添加して醸造しており、どこかツンとしていて匂いがきついものだが、酵母酢には酵母の生み出した各種栄養分、うまみ成分が残っているため、とてもまろやかで、やさしい香りと味がする。寿司酢に使ったり、ピクルス、マリネなど、用途は様々。
トマト酵母の炊き込みごはん、柚子酵母のふろふき大根、ラ・フランス酵母のあんこ、柿酵母酢でなます、梨酵母のそうめん付け汁…など、酵母液+塩、酵母液+醤油、程度で、驚きの味が創造できるのだ。

「酵母ごはん」とは調味料を自分でつくるという発想とも言える。市販のものにはさまざまな化学調味料、保存料などが添加されているが、自分で素材選びから発酵のコントロール、料理までを責任を持って行う。そこで大切になるのが、素材を見極める能力。酵母の素材に泡がついているか(見る)、シュワシュワ音を立てているか(聞く)、甘い香りがするか(嗅ぐ)、どんな味か(味わう)、発酵の強さは(さわる)…五感をフルに使い、目の前の素材と命(大地の恵み、そして菌)に向き合うことで、都市生活者でありながら生命をいただく感覚を養うことができるのではないかと思うのだ。

酵母ネットで提案しているこういった食のあり方は今、子育て中の若いお母さんを中心にじわじわと浸透しているようだ。子どもに本当に安心できる食材を与えたいと思った時に、自ずと、酵母に出会ったのではないだろうか。

わたし自身、酵母生活を始めてからまだ1年半。しかし、酵母と出会ってから食に対する考え方がガラリと変わった。母親が長いこと食運動に携わっていたため、若い時分から割と食には関心を持ち、こだわっていたつもりだったが、酵母との出会いは今までの情報やデータを全部ふっとばすほどあまりにも衝撃的だった。目の前にある「酵母」という存在をもっと知りたくて、そしてウエダ家ともっときちんと話せるようになりたくて、それを本にしたくて、食べ物の仕組みや栄養バランス、消化吸収の仕組みまで、いろんなことを学んだように思う。

「ゼロ世代」(朝日新聞で言うロスト・ジェネレーション)である私たちにとっては、母親世代(団塊世代)のような市民運動的な食活動や、勉強会、啓蒙活動よりも、新しいレシピや食環境をつくる楽しさ、クリエイティビティなど、実践を通して生活の内部に浸透していくような食の動きの方が適しているような気がする。わたし自身、酵母の活動は「運動」や「特定の料理家によるヒエラルキーある食活動」とは一線を画すものだと思う。

酵母。
その楽しさとおいしさを、いろんな人に伝えていきたい。
これからも。ずっと。


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プロフィール

キタハラマドカ(おでこが広いからtecoちゃんがニックネームでした)

Author:キタハラマドカ(おでこが広いからtecoちゃんがニックネームでした)
団地暮らしと酵母生活の達人目指す、フリーのライター・編集者。仕事は、生きることそのもの。水環境ジャーナリストを師匠に、鬼校閲者を友に、チーム仕事も繁盛中でございます。
ウエダ家とともにCOBOの普及活動に勤しむ、日本初のCOBOライターでもあります。
得意分野は、食環境、住環境、地球環境。地球温暖化や食の安全・安心、エコハウス関連の仕事が多い今日このごろ。仕事の内容についてはカテゴリ【work】をご参照ください。
夫と愉快な仲間たちがやっているNPO法人【Waveよこはま】のブログにてエココラムを執筆中。
このブログはのんびり気ままに更新中。

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横浜からリユースの波を! を合言葉に、リユース食器の普及活動をしているNPOに参加しています。Waveよこはまブログで、エココラムを執筆しています。
COBO net
野生の菌とともにある暮らしを見つめ、「発酵」を身近にすることでいのちの循環を感じる「酵母生活」を提案するウエダ家。本の執筆や編集をともに行うなかで、日本の食卓をクリエイティブにする楽しさ、可能性に夢中で活動しています。
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☆キタハラ、2009年1月に出産いたしました☆ニンプ日記は未完のまま産後生活に突入。ぼちぼち、育児日記出産ドキュメント布おむつ生活産後の体のこと姿勢のことなどを書きつづっています。
相変わらず時系列はぐちゃぐちゃ。しかし、テーマごとに思考を詰め、まとめる作業は苦しくも、おもしろくあります。気長に見守っていてください。
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